八ヶ岳高原の別荘 改修工事

八ヶ岳高原の別荘 改修工事 1

八ヶ岳山麓の標高1600mの高原に建つ別荘の外装を中心とした改修工事です。

夏は高原の強い紫外線と局所的な豪雨と台風の強風。冬は最低気温がマイナス20℃を下回る気温と積雪の厳しい環境の中、築28年を経てあちこちがかなり傷んできていました。

今回は外装を中心に下記の内容の改修工事の計画と業者の選定、工事監理を行いました。
施工は株式会社ヨダモッコウプラスさんにお願いしました。

1.外部デッキの解体と新設
   腐朽菌により腐食した外部デッキの構造材とデッキ材を解体し、新たに構造材を組み樹脂デッキ材を敷き込む。

2.ガルバリウム鋼板屋根材によるカバー工法によるコロニアル(セメント系スレート)屋根の改修
   紫外線により劣化したコロニアルの上にアスファルト防水シートを敷き込みガルバリウム鋼板の横葺きする。

3.凍害により沈下した駐車場、エントランス通路舗装の改修
   凍害と地下水によりところどころ沈下したアスファルト舗装の駐車場とエントランス通路の舗装をやり直す。

雪解けを待って5月初旬から工事に着手しました。

1.外部デッキの解体と新設

最初に約40㎡ある外部デッキの解体工事から着手しました。
下地の梁、大引き、デッキ材、手摺ともカラマツ材を使用したデッキは毎年防腐塗料が塗られメンテナンスがしっかりと行われていました。しかし、紫外線による劣化に加え、梁、大引きとデッキ材など部材の接触部に水が留まりやすく腐朽菌による腐食がかなり進んでいました。

特にデッキの梁は建物本体の土台に直接接合されており、水切の設置方法にも問題があったためいたため腐食は建物本体の土台、柱に及ぶ深刻な状態でした。このような事が無いように建物本体の構造とデッキの構造は縁を切るのが通常の施工方法なのですが。。。

腐食した部分を完全に除去するため外壁の一部を撤去しました。写真の様に柱も土台から30センチほど腐食が進んでおり、土台の一部分は完全に無くなっていました。デッキの構造体が接続していた部分はどこもこのような有様。新築の場合は地面から1mの範囲の木材を防蟻・防腐処理を施すと標準仕様にありますが、残念ながらこの建物は土台、柱とも防蟻・防腐処理の形跡はありませんでした。

築28年でもあるためか外壁には通気層もありませんでした。壁内の湿気を逃す通気層があればここまで被害は拡大しなかったかもしれません。

腐食部分を削り取り、デッキの廃材を利用して土台を新たに入れ込み柱の欠損部分は金輪継ぎでしっかり固定、断熱材も新たに追加しました。他の部分も同じようにして構造を腐食部分を撤去し構造を補強していきます。

クレオトップという油性木材防腐材をしっかりと塗布しているため木材が茶色に見えます。壁内の構造体は将来的なメンテナンスがむずかしいため念入りに防蟻・防腐対策を施します。

構造用合板でしっかりとふさいだ後、透湿防水シートでしっかりと覆います。この後、ラスモルタルの上弾性のジョリパットで仕上げていきます。

三間の掃き出し窓の下の梁も腐食が進んでいたので交換していただきました。サポートで奥の大引きをしっかり支えて三人がかりの大仕事でしたが隙間なくヒノキ材の梁をはめ込むことに成功。

デッキの構造材との接合部分にはガルバリウム鋼板の水切を設け建物本体の構造体とデッキの構造体を完全に縁を切るようにしています。

デッキ構造体の設置状況。あらかじめ小口をふくめ防腐塗料を2回塗りしたヒノキのKD材を仕口からの腐食を防止するため梁受金物と引寄せ金物で接合していきます。デッキの下地となるためしっかりレベルを管理しながらの施工です。

建物本体とデッキ構造体の接合部。ガルバリウム鋼板の水切に梁受金物を止水のためのガムロン防水を挟んでコーチボルトで固定しました。デッキ構造体の天端にはガルバリウム鋼板の笠木をかぶせています。可能な限り木材の腐食を防ぐ工夫です。

溶融亜鉛メッキを施した鉄骨造とすればより耐久性は上がりますが、昨今の鉄骨材の高騰から今回の改修工事ではヒノキ材の木構造とすることを選択しました。

アルミ製のデッキ材大引の設置の様子。ガルバリウム鋼板の笠木の上からビス留めしていますが、止水のためあらかじめシール材を塗ってからビス留めしてもらっています。

樹脂デッキ材の厚さが45mmあるため大引きの間隔は最大900mmまで広げることができます。デッキ構造材へのビス留めの個所数も少なくすることができます。

樹脂デッキ材の取付作業の様子。今回使用した材料は三協アルミのヴィラウッド。幅204mm厚さ45mmの中空の人工木のデッキ材を金物で大引に固定していきます。木材のデッキ材は毎年の塗装などのメンテナンスが必要となるため人工木デッキを採用しました。

中空のデッキ材は高温になりにくいとのことですが実際はどうでしょうか。面積の広いデッキには200mmくらいの幅のあるデッキ材としたいところです。

デッキ工事完了。約40㎡のゆったりとした広さのあるデッキスペースです。最大2mを越える高低差があるため手摺は鋼製のフラットバーで製作していただきました。対候性を考慮して溶融亜鉛メッキの上ウレタン塗装としています。手が触れる笠木の部分は防腐塗料を塗布した対候性のあるセランガンバツを使用しています。

手摺のブラケット部。できるだけ腐食しないようにデッキ構造材の腹側にコーチボルトで固定しています。固定の際にはガムロン防水を挟み込みコーチボルトからの浸水を防ぐように工夫しています。ブラケットを外部側に配置することで将来的な再塗装の際にも作業しやすいようにしています。

「八ヶ岳高原の別荘 改修工事 2」に続きます。

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